S&P 500はボトムから20%上昇してブル・マーケット入りしたが、過去の多くのラリーがそうであったように幅広く納得はされていない。特に何かにつけて「債券投資家と株式投資家の温度差」が取り上げられてきた。曰く、米国債のイールドカーブがインバート(長短金利逆転)し ...
カテゴリ: Fed金融政策
債務上限問題の解決に伴う1兆ドルの流動性吸上げ
5月の相場は米国の債務上限問題に振り回されてきた。米国では政府が発行できる国債総額の上限が法律によって定められており、これを債務上限(Debt Ceiling)と呼ぶ。債務が上限にぶつかると財政省は一部の支出を制限しなければならず、政府の一部閉鎖や、既存国債償還の資 ...
Fedと共にフォローする中小銀行危機のその後
シリコンバレー銀行(SIVB)の破綻をはじめとする米国の中小銀行危機がFedのnot QEモーメントに繋がったことは前回の記事で述べた。前回の記事は混乱の中で定性的に今後の推移を推測して羅列したが、その後現実の資金に関するデータが出揃ったためショックの後の展開を改め ...
SIVBを人柱に金融政策はnot QEモーメントに突入
3月FOMC直前のブラックアウト期間に、シリコンバレー銀行(SVB, SIVB)の破綻が金融システムを震撼させた。話題になり始めてから一週間以内に資産規模で全米16位であったSIVBは破綻した。2008年のワシントン・ミューチュアルに続く大型破綻となった。シリコンバレー近辺の ...
1970年代とのあまりもの共通点の無さについて
パンデミック後の一時的な(Transitory)インフレが何とか鎮火に向かいつつある中、それでもFedは引締めスタンスを変えないと主張する際にちょいちょい持ち出されるのはGreat Inflationとも呼ばれる1970年代のインフレの前例である。これはジャクソン・ホールでのパウエル ...
Fedの自由研究と2023年利下げ織込みの是非
2022年後半のFedはコア化したインフレに振り回され続けた。従ってFedの意向よりも経済指標自体を分析する方が意味があったのだが、インフレの不確実性がだいたい落ち着いた後は再びFedの意向が重要になって来る。最近Fedはひたすら2023年の利下げ織込みという見えない敵と ...
テックの解雇ニュースと幻の労働者FIRE
This is why Facebook $META is down 70% in a year and 20% today. 23 year old product manager just took the stock down to the ground. pic.twitter.com/OvnBPC44PL— Inflation Tracker (@TrackInflation) October 26, 2022 ここ数年米国のGAFAMをはじめとする ...
米国の財インフレが一時的であったことが確定する
11月に発表された米国の物価指標は物価上昇のピークアウトを印象付けるものとなった。9月の前回記事でも物価上昇はコア化、サービス化しつつであるとしていたが、その流れはいまだに続いている。10月分CPIはエネルギーの減速が明確であり、またコアCPIの中では自動車の減速 ...
米国不動産引締めは将来のデジタルリスクに
一連の米国経済の記事で本ブログは消費者の過剰貯蓄、消費財の供給制約(サプライチェーン制約)、雇用、そしてインフレの中身のシフトについて点検してきた。中でも消費財のインフレが明瞭に終焉に向かいつつあるのを横目にしつこく残っているのは賃金と、「不動産だ ...
米国CPIはガソリン主導からコア化
米国8月CPIの数字は再び市場をざわつかせた。ヘッドラインCPIは年率+8.5%から+8.3%へと大方の予想通りピークアウトの形を保っているが、コアCPIの高止まりが目立った。ヘッドラインCPIはコンセンサスの+8.1%より+0.2%と少し高かったものの、その乖離幅はそっくりコアの ...