中国経済については昨年厳しめの記事を連発してから力尽きていたが、この間に一度財政拡張の期待というものが盛り上がっていた。2023年10月24日に中国の全人代(国会みたいなもの)常務委員会は財政赤字の拡大を可決した。前回の記事では「確かに理論的には春の全人代会期 ...
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中国は緊縮財政と内需崩壊によるデフレが続く
前回の記事では中国の8月の限界的な景気回復が内需ではなく外需回復主導のものであったとの仮説を立てたが、9月のデータはその見方に沿ったものになっている。中国のPMIは国家統計局(NBS)版、財新(Caixin)版の二つがあり、それぞれ製造業とサービス業で合わせて4 ...
困ったらRRR Cutで尻拭いという時代は終焉に
上海などで厳しいロックダウンが続く中、景気浮揚のために4/15に中国人民銀行(PBoC)は預金準備率(RRR)の0.25%切下げを発表した。このRRR cutはかつては金融緩和としてそれなりにワークしていたのだが、近年になって効きが弱くなりつつある。ましてや今回は切下げ幅も ...
米国の手厚い失業保険が低賃金労働と競合
ワクチン接種が進み経済が再開する米国で5/7に発表された4月分の非農業部門雇用者数(Non Farm Payroll, NFP)は予想外に低調となった。レストランやレジャー関係が再び人を雇い出すに決まっているのだがなぜか滑ってしまった。元々ショートがたまっていた米金利は瞬間的に ...
中国景況感は謎の春を迎える
中国の7-9月期実質GDP成長が6.0%とまたしても1990年代以来の最低値を更新しており、貿易戦争の悪影響でついに中国経済がコケ始めたかという印象を受けてしまう。しかしGDP以外の多くの経済指標は中国経済が謎の回復期を迎えていることを示しており、バックミラーのGDPだけ ...
通貨ユーロの日本円化について
図は2002年から2019年までのEUR/USDとUSD/JPYの長期チャートである。過去はそうでもなかったが、近年になって(特にFedが利上げを開始して以降)両者は鏡像のようになりつつある。もちろんどちらも対ドルのチャートなのである程度反対の値動きになるのは仕方がないが、たと ...
李克強指数が鉄道転換政策で更に使えなくなる
李克強指数とは中国経済の「真実の」成長率を測るために考えられた、「鉄道貨物輸送量、銀行融資残高、電力消費」からなる指数である。「真実の」と言うからには当然公式GDPは嘘であるという思想が裏にある。李克強首相がかつて遼寧省の党書記を務めていた頃、「遼寧省のGD ...
長短金利逆転=景気後退の「今回は違う」
この図はソニーフィナンシャルホールディングスのレポートから切り取ったものである。レポートそのものはもっと多様なリスクの点検を行っているが、今回はあえて都合良く一部だけ切り取って議論に使うこととする。長短金利逆転=リセッションという常識 米金利の長短逆転 ...
米国のコアCPIはお絵描きで概ね予想できる
米国の金融政策に焦点が当たる中、Fedが参考にするであろうCPIの数字にも注目が集まるようになっているが、CPIは経済指標の中でも最遅行であり、最も予想しやすいはずのデータの一つである。自分でチャートを作るほどでもないので、TradingEconomicsの10年チャートをペイン ...
中国が地方インフラ開発を1000件近く中断させる
チャイナショック後の不動産・インフラ投資の盛り返しを引っ張ってきたヒーローであるPPP(官民パートナーシップ)プロジェクトが次々と中断させられている。中国が共産党大会を通過し、GDP目標の6.5を上回る部分のバッファを使いつぶして引き締めに動いているというビッグ ...